さくらシンドローム

「今朝、羽川くんのお母さんがうちに来ました。昨日の夜から瑞樹がいないんだけど知らないかって。」

「…」

「成美さん、ご両親よりも誰よりも、一番羽川くんに来てほしかったそうですよ。大切な弟に、お祝いしてほしかったそうですよ。」

「…」

「桐生くんとの予定だって、そんな大したものではないのでしょう?今からでも間に合います。成美さんのためにおばさんに花束作ってもらいました。これを持ってお祝いに行きましょう。」

凜太郎がズッキーの腕を掴むと、ズッキーはそれを振り払った。

「行きたくないんだよ!…見たくないんだよ。なるちゃんが他の男と結婚するとこなんて。」

ズッキーはタガが外れたかのように泣き出した。

俺も凜太郎も唖然とした。

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