Luck TesT
「結斗!!お願い、目をさましてよ!!返事してっ!!」

結斗の体をゆする。
だが、なんの反応もない。
辛うじて息をしてはいるが、このまま目をさまさなかったらどうしようという不安が、頭の中を駆け巡る。

「ロープ、ほどかないと」

ポタポタと溢れ落ちる涙をグイッと吹きながら、辺りを見回す。

「ほら、これを」

ふと後ろから声がした。
そこには汗だくのお巡りさんの姿があった。

「ありがとうございます」

渡されたカッターで、太いロープをなんとか切りほどく。
お巡りさんは、椅子にかけてあったタオルを手にとると、おばさんのこめかみのあたりの、血の滲んでいる場所にそっと当てた。



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