Luck TesT
「…ねぇ、真也。朱美も一緒にいるよね?」

長い沈黙を先に破ったのは私だった。
だが、私の問いかけに、電話の相手は何も言わない。

「真也、なんでしょ?この電話。ねぇ、答えてよ…」

嗚咽交じりに泣きながら聞く。

「お願い…何か言ってよ……」

懇願するように、すがるような声で呟く。

『ごめん、葵』

その言葉に、私は目を見開いた。

「真也…やっぱりそうなんだよね?真也なんでしょ?」

私の問いかけに、戸惑いがちに、電話の主は、『あぁ』と答えた。

< 314 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop