Luck TesT
何が起こったのかわからなかった。
ただ、さっきまであった、結斗の姿はもう、そこにはなく、電車がキキィと音を立ててゆっくりと通り過ぎて行く。

「え‥?」

ボタボタと何かの塊が辺りに飛び散る。
遮断機はおりていない。
だが、カァンカァンと音だけは鳴り続けていた。

ゆっくりと電車が停止する。

葵は、へなへなとその場に座り込んだ。
手に握りしめた携帯が、ブルブルと震え続けた。



< 433 / 436 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop