誓~天才演技者達の恋~
_________
____________
「ハァ!?」
百合亜の一番の親友でもあり、卓也とも仲の良い彼女は、ほうきを片手に大声を上げる。
「あ、明日香!声がデケーェ」
卓也に言われるが、霧島明日香
(KirishimaAsuka)は構わず声をあげた。
そんな明日香の性格を知ってるのに関わらず、卓也は昨日の出来事を明日香に話した。
「はぁー。本当にあんた達ってメンドクサイわよね」
ほうきを振り回す明日香。
卓也から見れば、とても“クラスから一目置かれているお嬢様”には見えなかった。
明日香は、ちょっと…いや、かなりのお嬢様。
最近は安くて手ごろな物も置いてあるという『霧島ジュエリー』の会長の孫。
と言うのも、今までは貴族レベルしか買えなかったブランドは、ある時、革命やら改革が起こった。
その革命を起こしたのが、霧島に嫁いだ明日香の母親。
明日香は100年以上も続く、霧島ジュエリーの根本を変えた母親に似て、強気で信念を曲げない性格。
悪く言えば頑固だった。
「オマエ、本当にお嬢様かよ」
「私は私よ。
大人になるまでは、それを貫くの。
嫁として霧島に嫁いだ母様(ははさま)が変えたのよ。
私が誇ってるのは母様。霧島じゃないわ」
明日香は、掃除をしている素振りで卓也を掃く。
「あぁーこんなとこに大きなゴミが」なんて言いながら。
卓也は、なんでこんな奴と百合亜が親友なのかと疑問に思う。
そして最近気がついた。
あいつも、演技になると頑固だと...。