誓~天才演技者達の恋~
大型ビジョンを、変装なしで見ているユリア。
それでもスッピンの彼女に誰も気がつかないし、分かったとしても、CMの中の女が誰なのか分からない以上、話し掛けることも不可能。
「完成したんだ...」
ユリアはうっすらと涙を浮かべた。
そして、インターネット上で早速、話題が持ちきりになっていた。
そんなこともあってか、和人からの電話が入ってしまった。
ユリアは落胆するも「仕方ない」と嬉しそうに呟くのであった。
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「誰...なんでしょうね。このCMの女」
「土居ィィが、調べれば済むことだろうが」
鎌足は、早速動画投稿サイトで、何百回と美星堂のCMを見ていた。
朱美も横目で見るが、誰だかさっぱり分からない。
「最初の感じは、菊花ユリアなんですけどね。でも何か、この前のオーラとは違うんですよ」
「じゃあ、違うんじゃねぇーのぉ?」
「でも、辻褄は合うようにはなるんですよ。菊花香織が、いきなり正体を明かした件については」
鎌足はタバコを手に持ちながら、動画を見続ける。
朱美はため息をつくと、パソコンの電源を落とした。
「おいッ!ってめー!!何しやがるんだ!!」
「私の上司は、残念ながらあんたですッ!!命令してくれなきゃ、動けません!!」
「んなぁもん、いつかプロダクション側が明かすだろう」
「名前さえ、公開してないのにッ!??」
鎌足は、タバコに火をつけずに灰皿に入れる。
するとパソコンを起動させて、ある資料が書かれたファイルを開けた。
「....?」
「個人的に興味があったから、調べてみたんだよ。」
「あの時は、取り上げなかったクセに?」
鎌足は笑いながら、そのファイルをUSBにコピーして、朱美に渡す。
「菊花ユリア...気になるねぇ。
そしてその中の...飛行機事故もさ」