誓~天才演技者達の恋~

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「おはよう」

「由梨さんおはよう!」


由梨はクラスメイト達に頭を下げた。

廊下にいる生徒も、教室にいる生徒も皆、美星堂の新ポスターが載っている雑誌を見ていた。


「ねぇ、昨日発表されたんでしょう!?」

「うんうん、名前は公表されなかったんだけど、この10(+1)人は同一人物だって」

「信じられないよねぇー。」


廊下に響く、女子生徒たちの声。

由梨は横目でポスターを見た。

卓也が素で写っていると思うのは、由梨の勘違いなのだろうか....。


「どこかで、どこかで見たことある顔だわ」


ユリアの凄いところは、口紅の一つで別人になることだった。

だから「私でも綺麗になれますか?」のYuriaでも、薄く化粧はしているため、気がつくのには不可能があった。

由梨は考えもしない。

演戯祭で座っていた、百合亜そっくりな子が彼女とは....。


「腹が立つくらい、綺麗なのよね」


由梨はそう呟くと、教室に入って行った。

相変わらず、卓也の姿は無い。


「由梨ちゃん!見た?このCM」

「うん、見たよ」

「卓也くんって、こんな顔もするんだね」


由梨は、クラスメイトから携帯を奪い、さきほど発表されたばかりの美星堂CMパート2を見る。


「冗談...!!」

「由梨ちゃん?どうしたの怖い顔して....」

「.....」

「でも、ビックリだよね。卓也くんがこんな笑顔なの」


由梨は鞄を持つと、携帯を投げるように返して、芸能科の校舎から出る。


「私じゃない...卓也を笑顔に出来るのは、私じゃないって言うの!?」

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