誓~天才演技者達の恋~
「そんで?どうするのよ。私の情報では、明後日よね?」
百合亜の出発日のことだ。
卓也は無言で頷いて、周りのゴミを取る。
明日香は腕を組むと、うぅーんと、唸り声をあげた。
そして数分後、明日香は指を鳴らすと、一回教室に戻っていった。
「......?」
3分くらいだろうか、卓也は掃除場所の階段に座って待っていると、明日香が赤と黒のランドセル二つを持ってきた。
黒のランドセルを卓也に投げると、明日香は自分の赤のランドセルを背負う。
今だ状況が掴めない卓也。
でもこのランドセルは、間違いなく卓也の物だ。
「帰るぞよ」
「はぁ!?」
明日香の一言に固まるしかない卓也。
第一、小学生でマズくねェ?というのが卓也の本音。
明日香はそれを悟ったのか、満足に微笑む。
「大丈夫よ、霧島の権力で捻じ曲げるわ」
「うわぁー」
明日香の性格は物凄い。
それを改めて感じたし、明日香だけは敵にまわしてはイケナイ。と感じた。
明日香は、卓也の手をひき校舎を出る。
それを複雑な表情で百合亜は見ていた。
まさか見られているとは思っていない明日香と卓也。
二人は一生懸命に足を動かしていた。
「明日香って...卓也のこと好きなのかな?」