誓~天才演技者達の恋~
百合亜の最後。
涙を流すこと無く、百合亜は黙って医者達を見る。
「飛行機事故....?ふ、ふざけないでよ...」
百合亜は医者達を押し、病室を出る。
しかしそこは異国の地。
言葉の通じない人々が、さまざまな表情を見せてくる。
「卓也...。卓也はどこ?」
百合亜は病院の廊下に座り込む。
飛行機事故について、テレビが報じていた。
警察などの調べも終わっていて、記者達が思いのままに、事故現場を撮る。
「いや...やめて...」
耳を塞いだって意味が無いのに、耳を塞ぎ。
映像を見たくないから目を閉じる。
でも目を閉じても出てくるのは、悲劇の一部。
「百合亜ちゃん!あなたまだ怪我が...」
「ねぇ、他に生き残ってる人は?」
「.......いないわよ」
百合亜は目を見開き、日本人の首を掴む。
生き残り。
そう考えるだけでも頭痛がした。
「どうして私を助けたの?ねぇ、ねぇ!!
なんで私一人が、苦しめられなきゃいけないのよッ!!」
この時までは、百合亜にはしっかりと記憶は残っていた。
しかし倒れて、日本で目を覚ます間に消えた。
日本で目を覚ますと、百合亜には記憶が残っていなかった。
________
______現在____
「つまり、映像で見て...ショックを受けたと?」
香織は頷くと、言葉をつけたした。
「生き残り。それが嫌だったのよ。
苦しみを覚えているのが一人だけって、痛くても痛いって叫べないじゃない?」
「........」
「百合亜は、まだ幼すぎて、苦しかったんだと思うわ」