誓~天才演技者達の恋~
ユリアは夢の中。
深く深く落ちていった。
『もし“ゆりあ”が“ゆりあ”じゃ無くなった時...
俺は一番にオマエを...
“ゆりあ”を見つけてやる!!』
ユリアは天井に手を伸ばす。
「私はここ」と呟きながら。
『必ず、必ず“ゆりあ”に追いつく。
待ってろ...必ずその世界に迎えに行ってやるから』
夢の中で人影はハッキリとした瞬間。
ユリアは夢の世界から目を覚ました。
「待って―!!」
息を荒くして、ユリアはベットから起き上がる。
幸い、保健室には誰もいなく、ユリアはため息をつく。
もう少しで“見えそう”だった。
失ってしまったかも知れない人が、もう少しで見えると思っていた。
「誰...賢斗?ううん、違かった」
ユリアはワイシャツに隠れているネックレスを引っ張る。
ネックレスを外して、両手で握った。
「私は最低な女だわ...賢斗の他に、好きだった男の子がいるなんて...」
でも、気がついてしまったかも知れない。
夢の中とは言え、賢斗といる時よりも、夢の中のシルエットにドキドキしてた。
もしかしたら、賢斗よりも大切な人なのかも知れない。
ユリアはそう思った。
「ねぇ、夢の中のあなたは...私にとってどんな意味で...大切だったの?」
ユリアは目を閉じながら、薄れていく彼を思い出していた。
そして、夢の中で言われた言葉を思い出す。
「私が私じゃ無くなっても...。」
それは記憶喪失になったユリアにも通用するのだろうか?
昔の自分と、180度変わってしまっているんじゃないか。
ユリアは不安で仕方なかった。
「彼は...私を探してくれているのかしら?」