誓~天才演技者達の恋~


ユリアは夢の中。

深く深く落ちていった。


『もし“ゆりあ”が“ゆりあ”じゃ無くなった時...
俺は一番にオマエを...
“ゆりあ”を見つけてやる!!』


ユリアは天井に手を伸ばす。

「私はここ」と呟きながら。


『必ず、必ず“ゆりあ”に追いつく。
待ってろ...必ずその世界に迎えに行ってやるから』


夢の中で人影はハッキリとした瞬間。

ユリアは夢の世界から目を覚ました。


「待って―!!」


息を荒くして、ユリアはベットから起き上がる。

幸い、保健室には誰もいなく、ユリアはため息をつく。

もう少しで“見えそう”だった。

失ってしまったかも知れない人が、もう少しで見えると思っていた。


「誰...賢斗?ううん、違かった」


ユリアはワイシャツに隠れているネックレスを引っ張る。

ネックレスを外して、両手で握った。


「私は最低な女だわ...賢斗の他に、好きだった男の子がいるなんて...」


でも、気がついてしまったかも知れない。

夢の中とは言え、賢斗といる時よりも、夢の中のシルエットにドキドキしてた。

もしかしたら、賢斗よりも大切な人なのかも知れない。

ユリアはそう思った。


「ねぇ、夢の中のあなたは...私にとってどんな意味で...大切だったの?」


ユリアは目を閉じながら、薄れていく彼を思い出していた。

そして、夢の中で言われた言葉を思い出す。


「私が私じゃ無くなっても...。」


それは記憶喪失になったユリアにも通用するのだろうか?

昔の自分と、180度変わってしまっているんじゃないか。

ユリアは不安で仕方なかった。


「彼は...私を探してくれているのかしら?」

< 122 / 252 >

この作品をシェア

pagetop