誓~天才演技者達の恋~
記憶喪失の菊花ユリアを、夢の中の少年は探しているのだろうか。
「何、考えてるのよ私...夢の中の男の子は、幼い頃の賢斗かも知れないでしょう!?」
自分に怒った後に、ユリアは重大なことに気がつく。
自分は城崎賢斗について、何も知らないと...。
「な、んで...?私、彼女なのに....。インターネットで調べられることですら知らないッ...」
ユリアはベットから落ちる。
痛みよりも、そのことに対するショックが大き過ぎて、大きすぎて。
ユリアは涙を止めることが出来なかった。
「フッ...何で...何で私、記憶喪失なんだろう...」
――ガタンッ
いきなりの音に、肩をビクリとさせるユリア。
そこには氷枕を持った卓也が立っていた。
「ワリィ...今、入学式終わってさ...」
「あっ、ごめんなさい。お見苦しいモノを」
卓也はユリアいた隣のベットに寝転ぶ。
氷枕を抱えながら、卓也は布団をかぶった。
「ごめんなさい!さっき、私を抱えたから?」
「...?別にそうじゃねぇーよ。最近睡眠を取ってなかったからさ。ナポ○オンもビックリの30分。
だから疲れがたまっての、ねーつ。」
ユリアは「良かった」と呟くと、卓也の傍にいく。
卓也は驚きを見せたが、何も言わずに目をつぶった。
「あの...さっきの聞いてましたか?」
「....ギリギリ聞こえなかった。もうちょっとゆっくり扉を開ければ、Yuriaのヒミツが聞けたのにな....残念」
本当に卓也には、ユリアの言葉が聞こえていなかった。
この時、ユリアが記憶喪失だと知っていれば、何らかの未来は変わっていたかも知れない。
「そう...ですか...良かった」
「ってか、今年度からトップ生2人なんだな。」
「えっ!?」
「どうやら、俺とオマエらしいよ」