誓~天才演技者達の恋~

勝気なお嬢様との再開


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「Yuria...見たかったな...」


入学式が終わり、明日香は体育館から出る。

律儀に片付けまでやっていたら、体育館から出るのが最後になってしまった。


菊花ユリアはトップ生なのだが、体調不良とのことで式を欠席した。

明日香にとっては、白野百合亜とどのくらい似ているのか見たかったのだが、欠席なら仕方ないと思っていた。


「もう4年か...生きていたら、どうなっていたんだろう」


卓也と明日香は、一時期百合亜はユリアとして生きていると思っていた。

でもメディアが嘘をつくはずも、航空会社がデマを流すハズも無かった。

その考えは不可能。夢物語に終わった。


「♪さくら...さくら...」


ちょうど体育館から出てきた彼は、ヘッドホンを外し、明日香の歌声に耳を傾ける。

あの日以来の再開。

彼が明日香を忘れた日は、一日も無かったと言える。


「霧島明日香...」


明日香は歌を止めて、振り返る。

聞かれていたという恥ずかしさで、珍しく頬をピンクにしながら...。


「あっ...あなた...」


あの時の。

明日香はその言葉を飲み込んだ。

出来るなら思い出したくない日だった。


「柊怜也だ」

「知ってる...。ただ言いたくなかっただけ」


怜也は、意味が分かり複雑な心境になった。

怜也自身は“初恋の女の子”に出会えて嬉しいハズなのに。

明日香にとっては、嫌な日の記憶の一部。


「何?私に何か用?」

「えっ...あぁ....」

「行っていいかしら?」

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