誓~天才演技者達の恋~
「えっ!?」
また、また鼓動が速くなる。
でもユリアには振りほどけなかった。
卓也がユリアを見つめる瞳が、なんだか笑っていて...。
振りほどくなんて酷なこと、出来なかった。
「Yuria...」
「な...なによ...」
「オマエ、修学旅行ドコに行くんだ?」
間抜けな声を出し、ユリアは卓也を睨む。
そして、そのまま卓也の足を踏んだ。
「ってー!!!?」
「それのためだけに、あんな目...しないで...」
「はぁ?何言ってんだよ...イテテテ」
ユリアの腕から卓也は手を離し、踏まれた足をさする。
ユリアは見下ろすような感じで、卓也を見ていた。
「ロンドンよ。ロンドン。
賢斗と同じ、ロンドンに行くことにしたわ」
「本当か...?」
「嘘ついてどうするのよ」
「一緒だな、修学旅行先」
パッと笑顔を見せる卓也。
いきなりの笑顔にユリアは戸惑いを隠せない。
「な、いッ、一緒だからって、一緒にいるわけじゃないのよ!!」
「それでも嬉しいじゃん、Yuriaと一緒って」
「意味不明!理解出来ないわよ!!」
ユリアは壁に頭をつける。
卓也は何も言わず、その光景を鼻で笑っていた。
「...本当に嬉しいよ。」
「だから、一緒に行動はしないってば!」
「分かってる。俺だって由梨と行動するしな。」
ユリアは卓也に思わず手を伸ばす。
その傷ついた顔が、ユリアの心をキュと締め付けた。