誓~天才演技者達の恋~


____
________


仕事が終わり、家に帰って来たユリア。

制服のままベットにダイブして、天井に右手を伸ばす。


「はじめて...男の人に平手打ちした気がする」


ユリアは右手を自分の胸に置く。

そして、あの時の言葉を思い出していた。


『恋に迷ってる』


右手を強く握り締める。

何で叩いたのか、何となく分かっていた。


「見透かされて...悔しかったんだ...」


卓也は見事に、ユリアの心を見透かした。

それがユリアには悔しかった。

演技者として、すべて見透かされるのが悔しくて..。

怖くて、いつかすべて知られるんじゃないかと思ったからだった。


「謝らなきゃ...いけないのかな?」


でもあわせる顔がユリアには無い。

また心を見透かされるんじゃ無いかって思った。


記憶喪失のユリア。

気持ちはフワフワしてて、Yuriaじゃなきゃ自信が無くて、簡単に心は見透かされて、簡単に体調不良と分かられてしまう。


「日比野...卓也...」


たとえそれが一人だとしても、ユリアには不安材料の一つでしか無い。

これが賢斗だったら、違う答えが出ていたかも知れない。

ユリアは起き上がって、制服から部屋着に着替える。


「行かなきゃ...」


ユリアは部屋着に着替える前に、私服に着替えた。

そして何故か家から飛び出す。


「ユリア?!ドコ行くの?」


ユリアは操られたように、街を走る。

ドコで足が止まるか、分からないまま...。
< 138 / 252 >

この作品をシェア

pagetop