誓~天才演技者達の恋~


「ハァ...ハァ...はぁ」


ユリアは操られるまま、ある一つの家の前に立っていた。

立派な家で、外壁は真っ白。

ユリアはその豪邸に目を輝かせていた。


「ドコからどう来たの...私...」


すると、その家の隣の電気がパチリとついた。

ユリアが目を細めていると、その家の玄関が開き、一人の女性が出てくる。


「...どなた?」


一人の女性は、ユリアを引っ張ると、家の中に入れる。

汗だくのユリアに、自分のワンピースを貸すと、コップに林檎ジュースを入れた。


「あなたって、Yuriaさん?」

「えっ!?あぁ...ごめんなさい...」

「何で謝るの?あぁ、私の自己紹介...まだだったわね。
日比野麻紀よ。」


ユリアは目を見開いて、林檎ジュースを飲む。

麻紀はそんなユリアに気がついたのか、クスリと笑った。


「日比野卓也の母、そういえば分かるかしら」

「あっ...」

「あなたも百合亜ちゃんの家、見に来たの?」


ユリアは首を傾げる。

麻紀はゆっくりとカーテンを開けて、白野邸を見せた。


「卓也の隣が百合亜ちゃんの家だったの。本当に恵まれていたわ」


ユリアはコップをテーブルに置き、隣の家を見つめる。

そして、窓に手をピタリとくっつけた。


「ゆりあ...って?」

「あら?芸能界の人なのに知らないの?白野百合亜ちゃん。演技の天才だったんだけど...飛行機事故で死んじゃったの」


ユリアはペタリと座り込み、白野邸を見る。

同じ名前で、死んでいる...?

日比野卓也の恋の相手って...ユリアは目を見開いて、麻紀を見た。


「私、菊花ユリアって言います。菊の花にカタカナでユリア。
あの...百合亜さんにそっくりだったりします?」
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