誓~天才演技者達の恋~
一言二言を終わらせると、オーナーという顔から母親の顔になった。
それでも気品が落ちることは無い。
「明日香ちゃんの彼氏?じゃ、ペアリングかしら?」
「母様、違います。
こいつの彼女さんは百合亜ですよ、白野百合亜」
頬を赤らめた明日香を横目に、卓也は頭を下げる。
あぁ!という顔で卓也の顔をマジマジと見ると、お似合いね。と呟いた。
それがなんだか嬉しく感じた卓也は、少し赤くなった。
しかし暗い店内で分かりっこナイ。と卓也は上がった体温を感じる。
「明日だもんね。百合亜ちゃんの出発」
いろいろな商品を出しながら言う明日香の母。
「明後日だよ...出発は」
明日香の一言で、表情が暗くなっていく卓也。
上がった体温も、一気に冷めていく。
胸騒ぎがする。ただその一言だった。
「えっ!?だってさっきYah●●!のニュースみたらそうなってたわよ?向こうの都合みたいね。急で大変ねエ-」
明日香と卓也は顔を見合わせて沈黙。
明日香の母は、何も言わずネックレスを出した。
「卓也くんの出世払いでいいのね?」
「えっ....!?」
驚きを隠せない卓也に、明日香の母は言葉を続ける。
「立つんでしょう?百合亜ちゃんと同じ舞台に。
そうじゃなきゃ、卓也くんが嫌なんじゃない?
告白されたみたいだけど、答えられないのは....それが理由でしょう?
本当に分かりやすいわね。明日香ちゃんのお友達って。」