誓~天才演技者達の恋~
でも本当は、ユリア自身を“見て欲しい”と心のどこかで思う。
「あの...白野百合亜さんについて、何かありますか?」
麻紀は首を振る。
ユリアは落ち込んだ様子で、麻紀を見ていた。
「ゴメンね。百合亜ちゃんが死んだ時、卓也荒れきってて...全部燃やしてた。」
「燃やした...?」
「卓也ね、百合亜ちゃんの事好きすぎて、好きすぎて、死を受け入れられなくって...全部白紙にしようとしたの。
アルバムを燃やすことで、思いでも灰になると思っていたのかも知れない。」
「ガキだったから」と麻紀は付け足す。
ユリアはネックレスを握り締めた。
麻紀はそのネックレスを見た途端、ガラスのコップを落とす。
「ま、麻紀さん!?」
「その...ネックレス...」
ユリアはネックレスを外して、麻紀に見せる。
麻紀は目に涙を溜めて、ネックレスを誰よりも、ユリアよりも強く抱きしめた。
「麻紀さん?」
「どうしてユリアちゃんがこれを?」
「えっ!?」
それは、卓也にされた質問と同じ。
ユリアの胸がザワザワとし出す。
「これ...卓也が百合亜ちゃんにあげたネックレスと同じだわ...」
「!!!!!!!」
卓也は似てると言った。
でも、可笑しいとユリアも思っていた。
似てるだけで、あんな取り乱す?...って。
「私は何もかも、白野百合亜さんとソックリ...ううん、一緒なの...?」
ユリアは頭を抱えながら、床に倒れこんでいく。
息を荒くして、名前を無意識に呼んでいた。
「卓也ぁ...」