誓~天才演技者達の恋~


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「あら?あそこ熱いわ。私たちもしとく?」

「.....」


卓也は由梨の腕を振り払って、搭乗口に向う。

由梨は睨むようにユリアを見ると、卓也の腕を掴む。


「由梨ッ!」

「私...別れないよ?卓也が別れた気でも、私はそうじゃない。いくらでも記者の前で言うよ?順調ですって」


由梨はそう言うと、ニコリと笑う。

卓也は由梨を睨むが、由梨には通じないようだった。


「ねぇ、キス...しよ」


由梨は卓也の首に手を回し、唇を重ねる。

卓也は無表情のまま、それに答えていた。


「何で、無なのよ。」

「......」

「そう...話でさえしてくれないのね。ユリアがいるからかしら?殺せば、いいの?」


卓也は目を見開いて由梨を見る。

やっと由梨を見た卓也。

由梨は満足そうに笑う。


「冗談だよ。
でも卓也がその気なら、私は殺せるよ...それくらい卓也に本気なんだから」


由梨はそう言うと、もう一回キスをする。

由梨は相変わらず、満足そうな笑みを浮かべていた。


「ロンドンで一週間、二人でゆっくり過ごそうね」

「........」


由梨は笑いあっているユリアと賢斗を見る。

そして卓也の手を握った。


「心配しなくても、菊花ユリアには城崎賢斗がいるわ。
卓也には私が...いるでしょう?」

「.......」


卓也は何も言わずに振り払うと、空港にあるお土産屋に入って行った。

由梨は舌打ちをしながら、その背中を見つめていた。
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