誓~天才演技者達の恋~


賢斗は、笑いあっている二人を見て、心を痛める。

悲しんだって、仕方ないことなのに。

いつかはくる。って分かっていたハズなのに。


「ユリア?」

「あっ!賢斗!」


名前を呼べば、ユリアは笑顔で返す。

でもその笑顔が、偽物な気がしてならない。


「由梨...とはどう?」


だからこそ賢斗は、意地悪な質問をした。

ユリアは、自分のことのように傷ついた顔をする。

卓也は、無表情で「そこそこ」と答える。

それを聞いて、ユリアはさらに、傷ついた顔をした。


「....賢斗。行きましょう?」

「いいのか?卓也と話さなくて」

「もう、用件は...済んだもの」


ユリアはそう言うと、卓也を見つめていた。

卓也は飛行機を見つめながら、深いため息を。

賢斗は、そんな二人を見ていた。


「ロンドン...楽しもうな?」

「あぁ」


賢斗の言葉に、力なく返す卓也。

ユリアは目に涙を溜めていた。


「ユリア?どうした?」

「ううん、何でも無い。行きましょう」


ユリアは賢斗を引っ張りながら、お土産屋を出る。

ユリアは一つだけ涙を流した。


「賢斗...ごめんなさい。」

「えっ?」

「ロンドンは、現地の人と回ります。今は日本語でも大丈夫みたいだし」

「ユリ「ごめんなさい。今、賢斗といて、笑える気がしない」


ユリアは、賢斗の手を振り払うと、搭乗口まで走っていってしまった。

賢斗は何も言えず、掴むことも出来ず、その場に立ち尽くした。
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