誓~天才演技者達の恋~


ザ・シャーロック・ホームズには、たくさんの外国人が、楽しそうに一杯やっている。

それはどう見てもホテルなんて言えなかった。


「...まさか...先生達の集合場所?」


お茶が出来て、くつろげる所。

そういう条件でくると、先生達の休みどころなのだろうか?


「じゃあ...間違えて...渡された?」


ホテルの場所は、しおりと言うものに書いてあるが、それは旅行鞄の中。

旅行鞄は、先にトラック的なものに乗せられてホテルに行ってしまった。

しおりなんて開かないと思っていたユリア。

ユリアに残された所持金はわずか。

あとはすべて旅行鞄の中だ。


「携帯は...捨てちゃったし...ってか充電無かったし」


ユリアはザ・シャーロック・ホームズの前で立ち尽くす。

入りたくても、いくらかかるか分からない。

道を聞きたくても、英語を喋れない。


「トップ生なのに、英語だけは駄目だなんて...情けな」


ユリアは次第に暗くなっていくロンドンに怯える。

この孤独は、目を覚ました時と同じ。

誰かが傍にいるのに、自分を知らないから空っぽで、自分を知らないからこそ孤独を感じる。


「情けない。本当に情けなさ過ぎる」


ユリアはその場から動こうとした。

するといきなり腕を掴まれる。


「えっ!?」

「ハァ...やっと会えたな」


肩を上下させて、卓也は笑う。

ユリアはいきなりの出来事に、口を開けていた。


「携帯...充電無いからって、捨てんなや」

「.......どうして?」

「ちゃんとここに来れたんだな。良かった。お前が方向オンチとかじゃなくて。
一生めぐり会えない所だったな」

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