誓~天才演技者達の恋~
百合亜に告白されたのは、昨日のこと。
話しをしたのも、明日香のみ。
しかし、明日香が喋る時間なんて無かったはずだ。
卓也は睨むように、明日香の母親を見た。
「私はね、本当にその宝石が似合っている人に買っていただきたいの。
本当にそれだけで、それだけの思いで、人の内面やいろいろなことが見えるようになったの。
もちろん、明日香ちゃんの気持ちもね」
「母様!!!?」
卓也は明日香の気持ち...が気になったが、今はそれどころでは無い。
気持ちを読まれたという事もあるが、出世払いが一番気になった。
明日香の母親が目の前に出していたのは、お手ごろの宝石で作られたリボンのチャームのネックレスなんかじゃない。
「これは、ダイヤモンドよ。
霧島ジュエリーの一点物。まぁ、似てるのはたくさんあるけど。
リボンチャームの裏に、Yuriaと掘ったらどうかしら?」
「あぁ、いいですね...そうじゃなくて、出世払いって?」
明日香の母親は、店の者に手配をすると一枚の紙を出す。
そしてペンを出して「書いて」と一言。
「あっ、いや...だから」
「百合亜ちゃんと、同じ舞台に立つのよね?」
今までで、一番力強い目。
明日香は、母親のその眼差しにドキリとさせられた。
『いつまで俺は、ここで立ち止まる?』
『オマエの夢はなんだ?』
『オマエの大切な人は誰だ?』
自問自答を内で繰り返すと、明日香の母親に負けないくらいの目(瞳)言う。
「立ちます。同じ舞台に。そして超えます!!」