誓~天才演技者達の恋~
ユリアと卓也は顔を真っ青にして、ロンドンを見渡す。
「ロンドンは...広いわよ?」
「だろうな」
「どッ、どうすんのよッ!!」
焦っているユリアの手を引き、卓也は走り出した。
ユリアは叫びながら、その足について行く。
「ちょっと観光しないか?」
「はぁ!?そんな暇...」
「無くはないだろう?」
ユリアは頷いて、卓也を見る。
それは何処か懐かしく感じる横顔。
「ねぇ...ドコ行くの?戻らないの?ホテルに」
「戻りたいって行ったら嘘になる。」
「そう...なら私は、付き合うわ」
ユリアはそう言うと、卓也の手を引く。
いきなりの足の速さに、卓也は苦笑い。
ユリアは相変わらず笑顔で、卓也を引っ張っていた。
「今、私たちは自由よ。
やりたいこと、しましょう!?」
「そうだな。金は俺が持つ。
下手したら...何処か泊まればいいんだもんな」
ユリアは笑いながら言う卓也を叩く。
それでも卓也は笑いながら、ユリアを見つめていた。
「オマエは、いいのか?賢斗のこと」
「いいの」
ユリアは足を急に止めて、卓也のほうへと振り返る。
そして手を振り解いて、ネックレスを外した。
「あなたが持っていて」
「はぁ?なんで?」
「私もあなたと同じ。
恋に迷ってるみたいだから...」
ユリアがそう言うと、卓也は納得したようにネックレスを預かる。
ポケットに大事そうにしまうと、ユリアの右手を握った。