誓~天才演技者達の恋~
さっぱりと忘れた記憶
天才達は高校二年生。
大人になるにつれ、演じる役も少しずつ変わってきました。
「ユリア...話がある」
身体も心も大人になってきたユリア。
もう、記憶喪失という意識は無くなって...。
前を向いて歩こうとしていました。
「高校卒業したら、正式に結婚しないか?」
ユリアは賢斗の言葉に驚く。
しかし、賢斗は冗談で言ったわけでも無い。
「待って!私たちまだ高二だよ?」
「だから卒業に「む、無理だよ」
ユリアは賢斗を見ながら大声を出す。
賢斗は冷静にコーヒーを飲んでいた。
「なんで?」
「なんで...って...。
そりゃ、賢斗と結婚したいよ?
でも...記憶喪失のまま、結婚はしたくない」
「.......」
「記憶喪失って考えないようにはなった。
でも...それだけじゃ、駄目なの」
ユリアに不安が襲う。
久々に自分が記憶喪失だって、思った。
「それに、記憶喪失の前...賢斗じゃなかったら困る」
「....?」
「信じてないワケじゃない。でも、思うの。
私の恋人は本当に..賢斗だったのかって」
ユリアは修学旅行の時の写真を取り出す。
そこにはどの写真も笑顔で写ってないユリアの姿。
「どうして...ロンドンの写真...私は無表情なの?
どうして私は...修学旅行の時の記憶が無いの?」
「........」
「ねぇ、賢斗。
私に何か隠してるでしょう?」
賢斗はユリアを見つめると、ため息をついた。