誓~天才演技者達の恋~
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由梨と卓也は手を繋ぎ、人の目など気にせずに街を歩く。
由梨は幸せそうに笑い、卓也は無表情だった。
するといきなり、卓也はあるお店の前で立ち止まる。
「卓也どうしたの?エーソド携帯の前に立ち止まって」
「....いや。今度、エーソド携帯会社のCMを務めることになってさ」
A-SDは今、顧客満足度一位・顧客数一位・料金安値一位などを誇り。
携帯社会を引っ張っていっている大手携帯会社。
「だから、どうしたの?」
「携帯変えなきゃな...って思ってさ」
「CMやることと関係あるの?」
由梨の質問に、卓也はポケットから携帯を出す。
納得したようで、由梨は卓也の手を引き店に入る。
「確かに、他社の携帯を持っているのは...マズイわよね?」
「あぁ..そういうことだ」
由梨は伊達眼鏡をかけると、卓也にも渡した。
「あなたの持っている携帯が、世間に広まれば、それだけになっちゃうでしょう?日本が」
「大げさだよ」
由梨は笑うと、一つの携帯を手に取る。
それは、ユリアが買った機種。
「見て見て卓也。携帯に水玉が入ってるよ?」
「男が水玉...?」
「黒色だと、うっすらだよ?それが逆にカッコイイじゃない」
卓也は見本に手を伸ばすと、由梨と一緒に見る。
そして小さく「いいな...」と呟いた。
「私もこれの白が欲しい..ケド。まだ契約期限が切れてないのよねぇ...」
「由梨。ここで待ってて。」
「うん、分かった」
その会話の後ろで、携帯を握り締めたユリアが店から出る。
由梨は何かを感じ、振り返ったが。
もうそこには誰もいなかった。