誓~天才演技者達の恋~


「白野...百合亜...?聞いたことある気がする」


ユリアが考えようとしていると、後ろから肩を叩かれた。


「室井さんッ!?」

「すみません。道混んでて遅くなっちゃいました。待ちくたびれてましたか?外に出てきて...」


ユリアは首を振る。

そして一直線に車に向っていった。


「ユリア...さん?」

「来るような気配を感じたの。それだけだから」


後部座席に腰をおろし、ユリアは外を見る。

そしてため息をついた。


「白野百合亜なんて、顔も知らない人に頭を使うのは止めよう。」


――カシャ
走っていく車を、朱美はカメラにおさめる。

カフェの中で過剰な反応をした瞬間でさえ、朱美は撮っていた。


「ほとんどプロフィールが公開されてないYuria...記者として追わない訳いかないわよね?」


カフェで話をしていたのは、朱美とその友達。

たまたまと言っていいほどの偶然だった。

Yuriaがホシカフェに来たのは...。


「まぁ私の親友は、あの子がYuriaだとは気づいてないでしょうけど」


菊花ユリアについて追っていた朱美には、簡単に見破れた。

変装をしなくても、他人からは気づかれないYuria。

しかし朱美の目からは逃げられない。


「さて、ヒミツを教えていただきましょうか?菊花ユリアさん。

いえ...白野百合亜」


ユリアは急な悪寒に肩を抱く。

そして窓を開けて、少し顔を出す。


「ユリアさん!?危ないですよッ!」

「..........」

「ユリアさんッ!!」
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