誓~天才演技者達の恋~


ユリアは窓を閉めると、携帯をポケットから取り出す。


「...あれ?どうして室井は、室井さんは...私の番号分かったの?」

「えっ!?」

「今日買ったばかりなのに」


室井は、笑いながらユリアの表情をミラーで見る。

ユリアとミラー越しに目が合うと、室井は口を開けた。


「香織さんですよ。ユリアさんはすぐ電話したでしょう?香織さんに」

「だから...?」

「えぇ、ユリアさんが家に行ってもいなくて、香織さんに電話をしたら、ユリアは携帯を買ったらしいから、その番号に電話してみなさい。とのことでした。」


ユリアは納得したように頷くと、携帯でインターネットに繋ぐ。

気になったこと。カフェで聞いた“白野百合亜”

ユリアは、白野百合亜について調べ出した。


「....嘘!?」

「ユリアさん!?」


事故前の白野百合亜の写真。

それは日比野卓也とキスをしている写真。

そしてそこから、白野百合亜のプロフィールが載っているサイトにジャンプする。


「血液型...誕生日...すべて一緒だわ」

「ユリアさん?」


そこに載っている情報は、苗字と好きな人以外は一致する。


「名前、白野百合亜。
好きな人、日比野卓也」

「まさか、ユリアさん!」

「ねぇ、私って...誰なの?白野百合亜さんと酷似し過ぎじゃない?」


室井は黙ったまま、運転を続ける。

ユリアはインターネットを強制的に切ると、ミラー越しで室井を睨む。


「あなたも賢斗と同じ...なにか知ってるのね?私が記憶喪失になる前の事、知っているのね!?」

「ユリアさん、落ち着いてください」

「落ち着け...?無理な話よ!!
この写真を拡大すると、白野百合亜の首には...。

私が失くしたネックレスがついてるじゃない!!

室井!あんたは...何を知ってて、隠してるの!?」
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