誓~天才演技者達の恋~

「あの...おつり...」

「貰っておけばいい。売上金の一部、又は自分の小遣いにでもすることだな」


店員は賢斗の顔をマジマジと見る。

すると「あっ」と声を漏らした。


「城崎賢斗くんね」

「えぇ...そうです」


すると店員は、レジのところから色紙を取り出した。

賢斗は困ったように笑う。

店員はニコリと笑うと、壁に向って指を指した。


「?」

「ここね。たくさんの有名人が足を運んでくださるの。

白野百合亜ちゃんも良く来てくれたわ。
日比野卓也くんと一緒にね」

「えっ!?」

「フフッ。明日香ちゃんは相変わらずね。良く卓也くんと言い合ってたわ。百合亜ちゃんをはさんでね...いつも困った顔で私を見るの」


パッと見ても、ジィーと見ても、この店員は二十歳に見える。

“流星(リュウセイ)喫茶”の亭主は、賢斗の視線に気がつくと、頭を下げた。


「ここの店長なの。
隆盛(リュウセイ)雪奈(ユキナ)歳は....3「言わんでいいです!!」

「えっ...!?」

「見た目年齢で、いいです」

「もうッ!賢斗くんも、卓也くんみたいな事言うのね?卓也くんも、年齢を言わせてくれないのよッ!!」


見た目二十歳。
そして中身の精神年齢は10...?

そんな雪奈は、割れたコップの破片を拾っていく。


「でも何でさっき、お客様?って?」

「....あぁ、何となくね?昔からおつりいらない!って出て行っちゃう子だったから...その時だけはとりあえず、お客様!って言ってるの」


マイペースにゆっくりと話す雪奈。

賢斗は色紙にサインしながら、百合亜のサインを見ていた。


「百合亜ちゃんとYuriaって同一人物だったのね...隆盛ビックり」

「.......聞いてたんですか?」

「んもうッ、バッチリ☆」
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