誓~天才演技者達の恋~
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「んッ!完璧だわ」
今日は、演技祭当日。
ユリアは舞台裏で、化粧をしてもらっていた。
「ちょっと痩せた?Yuria」
「うーん。そんなことないよ」
「そう?」
メイクさんこと、篠原(シノハラ)律子(リツコ)にそう言うと、ユリアは立ち上がった。
ユリアは体重を無理やりでも、戻そうとしていた。
無理やりでも、食べ物を口に入れる。
荒治療で、時には戻してしまうが、胃には入っていく。
「最近、テレビで見ないから。心配してたのよ?」
「あぁー全部仕事詰め込んでましたから、休みが出来たんですよ。」
「そうなの?だから映画とか、CMとか、広告とかがYuria一色なのね」
ユリアは頷いた。
律子の話は間違ってはいない。
ユリアが倒れる前、ユリアは映画・CM・広告など、すべてを一気にやってしまっていた。
倒れた時、確かに仕事の話はあった。
だけど、断ってもたいして差し支えの無い物ばかり。
香織がユリアを心配して、断っていた。
「しかし、また綺麗になったんじゃない?Yuria」
「!?そうですか?嬉しいです」
「賢斗くんと何かあった?」
律子の言葉に、ユリアはドキリとする。
なんせ最近、ユリアは賢斗と顔を合わせていない。
賢斗が仕事を詰め込んでいる。というのも理由の一つであるが、ユリアは“避けられている”と思っていた。
「最近、賢斗...忙しいから...」
「ゴメンね。変なこと言っちゃった」
律子は気まずそうにそう言うと、メイク道具を片付けていく。
ユリアは手伝いながら、律子の左手を見つめていた。
「結婚...か...」