誓~天才演技者達の恋~

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由梨と賢斗は、舞台裏の楽屋にいた。

今回は4人は、2人ずつに分けられた。

由梨と卓也は付き合っているし、賢斗とユリアも付き合っている。

なので、卓也とユリア

由梨と賢斗という振り分けになった。


「緊張する」


舞台袖でユリアはボソリと呟いた。

卓也はこんな言葉一つでドキリとする。

由梨を選んだハズなのに、雪奈の言葉を思い出す。

自分の母親である、麻紀の言葉を思い出す。

Yuriaは百合亜では無い。卓也は何度も自分に言い聞かせる。


「最初ッから、結婚式のシーンって面白いよね」

「あぁ...」

「私を連れ出してね。結婚式場から...」


ユリアはそう言うと、スイッチを入れた。

ユリアからYuriaになる。

ユリアから百合亜になる.....スイッチを。


{Yuria,「私はあなたを...心から愛しています」}


舞台袖でそう言うと、ユリアは卓也を見つめた。

卓也には分かっている。これはセリフなのだと...。

でも、今だけは彼女に甘えようと思っていた。


「俺も...愛しているよ」


ユリアは満足そうに笑うと、舞台の中心に向う。

あと一分弱で、舞台は開く。


「俺の最後の..舞台...か...」


卓也は心臓あたりの場所を掴む。

刻々と迫る時間。

卓也はタキシードの男と腕を組むユリアを、舞台袖から見つめていた。


「本当にオマエは一体...何もの何だよ」


卓也は小さくそう呟いた。
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