誓~天才演技者達の恋~

_____
_________

「待って、待って卓也!!」


由梨は、演戯祭終了後、卓也を捕まえた。

しかし卓也は何も言わない。


「おい、日比野」


そしていきなり賢斗は、卓也を殴り飛ばした。

由梨は周りに記者達がいないことを確認する。


「ちょっと!いきなり殴るなんて...」

「じゃあ聞くけど?由梨は許せるわけ?オマエもここにユリアがいたら...同じことをしたんじゃないか?」


由梨は黙り込んで、下を見る。

まだ衣装のままの3人の間に、嫌な空気が流れた。


「卓也もやっと、後悔しない道を選んだってことか?」


3人は一斉に振り返る。

仁王立ちしている彼女に、由梨はあからさまに嫌な顔をした。


「明日香...」

「久しぶりね。天才役者さんたち」


相変わらずな自信顔。

明日香は3人を見ると、卓也にビンタした。


「ちょっと!霧島明日香!?」

「歌原由梨。黙りなさい」


明日香の凍りつくような声に、由梨は黙り込む。

賢斗は、明日香を睨んだ。


「もう、分かってるんでしょう?
何で前に進もうとしないの?」

「.....」

「答えなさい!日比野卓也!!」


明日香は大きく息を吸う。

賢斗は明日香の腕を掴む、でも遅かった..。


「分かってるんでしょう?
菊花ユリアが、白野百合亜だって...

卓也?本当は分かってるのよね?」
< 180 / 252 >

この作品をシェア

pagetop