誓~天才演技者達の恋~
卓也は、明日香の顔を見る。
賢斗と由梨は、口を開けて、二人を見ていた。
「霧島の権力を力の限り使った。」
「.....」
「アメリカの病院でも確認したわ。
担当医にも言われた。『白野百合亜は生きてる』って」
由梨は泣き出すと、卓也を見た。
卓也は由梨に目線さえ合わそうとしない。
「それでね。菊花香織の養女じゃないみたい」
「「えっ!?」」
賢斗と卓也は声を揃える。
明日香は、賢斗が知らないことに驚いていた。
「修学旅行の時は、いろいろ手を組んだみたい。
ほら、白野百合亜が死んだってなったのは...向こうにも責任があるから」
「....」
「とにかく、卓也?どうするの?」
明日香は、卓也のことを見続ける。
「城崎賢斗。あんたは手放す覚悟をしておいて」
明日香はそう言うと、卓也に手を伸ばす。
卓也はワケが分からないまま、明日香の手を取る。
「しばらく、アメリカに留学することにしたの。だからしばらくお別れ」
「えっ....?」
「最後にもう一度言う。
菊花ユリアは、この世に存在しない。
記憶を失っていても...彼女の名は白野百合亜」
ジャリ...と音がする。
明日香は嫌な予感がした。
「ユリア!?」
ユリアはすでに制服に着替えていた。
歯を食い縛って、泣いているように見える。
「ゆりあ...」
ユリアは卓也を見ると、小さく笑った。
そしてそのまま、崩れていった.....。