誓~天才演技者達の恋~
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「んッ」
卓也が目を覚ますと、黒のワゴン車の中だった。
そして、その後ろには由梨が乗っていた。
「何で?」
「卓也、悪い。」
灰田が謝るのを聞いて、卓也はため息をついた。
夕飯が食べ終わって、寝ていたたところ...をって感じだ。
「ごめんなさい。卓也。
でもこうでもしないと...話...出来ないと思って」
由梨は弱弱しくそう言うと、椅子を動かして、卓也の隣に座る。
隣から、由梨の独特な香水の匂いがする。
甘い...バニラのような匂い。
「香水...ちょっと変えた?」
「えっ?うん..共演者さんからいただいたの。ほら、新人アイドルの星那(ホシナ)聖嘉(セイカ)ちゃん」
「ふーん。知らないな...アイドルとか」
「...デビューしたばっかりだから」
由梨はそう言うと、気まずそうに外を見る。
話たいのは、こんなことじゃなくて..。
由梨は手に力を入れる。
「別れたくない、とでも言うつもり?」
「えっ?」
「俺さ、由梨に話してない事あるんだよね。あと歌原社長にも言ってない。灰田にしか言ってないこと...あるんだよね」
「.......」
「何?っていう顔だね。まぁ、すぐに分かるよ」
卓也はそう言うと、サングラスをかける。
でも、車のガラスに映る自分を見て「似合わん」と呟いた。
「サングラスっていう顔してないよな...俺って」
「卓也、着いたよ」
「おう、分かった。由梨?一緒に降りる?俺は別に構わないけど?」
卓也はそう言うと、ドアを開けた。