誓~天才演技者達の恋~
朱美は、涙を流しながら鎌足を見る。
たくさんの涙が、鎌足のカメラの上に落ちる。
「土居ィィィィ。俺の過去。ちょっと聞かねぇか?」
朱美は鎌足のあまりの真剣さに頷く。
鎌足は、一つの喫茶店を指差した。
「流星...喫茶?」
「ここの店長が作る、クソ甘い珈琲がさ、以外に美味いんだわ」
「甘い...珈琲?カフェオレとか...カフェラテじゃなく?」
「あぁ、珈琲」
鎌足は笑うと、喫茶店のドアを開ける。
すると、見た目がかなり若い女...雪奈がカウンターにいた。
「あら?鎌足剛史さんじゃない。久しぶり」
「久しぶりだな、雪奈ちゃん。相変わらずの若さですなぁ」
「中身はかなりのオバサンですよ」
雪奈は笑うと、コーヒーの豆を挽き始めた。
朱美は不思議な店内を見て、キョロキョロしていた。
「剛史くんの、彼女さん?それとも奥さん?」
「雪奈、ふざけたことを言うな。俺の部下だよ」
「チエッ。相変わらず、伯守ちゃん以外は出来ないか」
朱美は雪奈にお辞儀をすると、鎌足の真向かいに座った。
「あの...店長さんとは?」
「雪奈でいいのに。律儀だな...剛史の部下だから、もっと酷い子かと思った」
クスクスと笑いながら、雪奈は砂糖の入っているケースを取り出す。
すると、カバッとコップに入れた。
「!!!」
「言ったろ、ここのコーヒーはクソ甘いって。
あぁ、雪奈とは同級生。
明華の普通科で、いつも学年二位。俺の次」
ってことは、鎌足は一位?という言葉を、朱美は飲み込んだ。
“まさか”という考えが、頭の中をグルグル回る。
「剛史。朱美ちゃんだっけ?プチパニック起こしてるよ?」
「あぁ?小さい脳みそで考えるからだよ」