誓~天才演技者達の恋~
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伯守香織は、芸能科の初代トップ。
世界で初?とも言える、中学からの芸能科が明華にできて
当時は、芸能人になれるのはお嬢様とかお坊ちゃんとか、何か才能がずば抜けてないと、なれない職業だった。
お金があれば、それなりのゴマすりがきく職業だった。
だから、一般の中の一般人は、明華の芸能科に強い希望を持った。
しかし。香織がその中の一人かというと、実はそうでも無い。
祖父や祖母らが、芸能プロダクションを設立していた家系に生まれた香織。
普通なら、ただ単純に継げばいいのに、祖母は香織に一言残した。
『芸能人の上に立つなら、一回でも芸能人になんな』
香織の母は、自分の母親を溺愛していて
祖母が死んで、その言葉は遺言だと言うばかりに、香織に言う。
そして香織は、それなりの演技力と美貌?を手に入れ、明華の芸能科の試験に挑んだ。
「合格」
当然のように、かも当たり前かのように母親は呟いた。
そこに、香織に対する褒め言葉など、存在しなかった。
別にショックを受けたわけじゃない。
だが、少し悲しかった気もする...と香織は振り返る。
「昭和の中の昭和。」
香織は学園でそう言われ、笑われた。
無理も無い。
みつあみに丸眼鏡。
スカートは膝がまるまる隠れ、華やかしさが一ミリもない。
そんな香織が、目を追う人物がいた。
「剛史、剛史」
「鎌ちゃーん」
いつも周りには男女関係無く、人がわんさか集まり
その中心にいる“鎌足剛史”
見た目は頭が悪そうなのに、普通科を主席トップで通過し、テストも満点。
中一にして、彼は明華の生徒会長にも推薦されていた。
鎌足は、何故か芸能科の、伯守香織を知っていた。
「あれ?伯ちゃんじゃん」
円の中心から、鎌足は顔を出すと、香織にニコリと微笑んだ。