誓~天才演技者達の恋~
「上手いけど、好きじゃない...」
あいつはもう、その時から天才の花を咲かせていた。
「高校卒業まで....」
卓也は自分に出来ることを考えていた。
本当は、傍に行って百合亜を抱きしめたい。
たとえ菊花ユリアだとしても、卓也は百合亜を抱きしめたかった。
「俺が助かる方法...」
それはドナー移植しかない。
けど、卓也と一致するドナーなど見つかっていない。
「...俺ができる事は、あいつの傍に意地でもいることなのか?」
それは違う。卓也はそう思った。
もしかしたら、何も言わず。
姿さえも見せず、百合亜の目の前から消えたほうがいいのかもしれない。
「あいつ今、何してるんだろう?
龍牙が言ったように、孤独で苦しんでんのかな?」
卓也はそう呟くと、カーテンを閉めた。
そろそろ記者達が、ここの病院を突き止めて来るころ。
「Yuriaと同じ病院って...大丈夫なんかな?」
卓也がカーテンを閉めた数分後、下からカメラのフラッシュが届く。
ため息をつくと、卓也は布団を頭まで被った。
「記者...こえぇー...」
無期限の休暇を公表した卓也。
無期限の休暇を同じく公表したYuria。
世間が大人しくしているハズも無く、世間を代表した記者団が病院に押しかける。
「クソッ、俺にはなんも出来ねェー」
卓也はベットを思いっきり叩く。
「はぁ...はぁ...」
卓也は布団を握り締めると、身体中に走る痛みに耐えていた。