誓~天才演技者達の恋~
「俺、とりあえず医者、呼んでくる」
「あぁ、頼んだ」
龍牙に頼むと、卓也は百合亜を病室の中に入れる。
「うッ、あぁ、うわぁぁぁぁ」
「......」
卓也は自分の点滴を引き千切ると、百合亜を抱きしめた。
持病の胸がキリキリと痛む。
「卓?やぁ、点滴...」
「いいんだ。」
点滴の中身が床に広がる。
百合亜はビショビショの床を叩く。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「.....」
卓也は自分ができる限りの力で、百合亜を強く抱きしめる。
でも百合亜は謝るばかりで、決してしっかりと“卓也”とは呼ばない。
「ごめん、なさい」
「もう、いい」
「ダメ、ダメ。私は、私は世間も身近な人も騙して、幸せに...」
「百合亜は本当に、幸せに暮らしてたか?」
ずっと卓也は百合亜に聞きたかった。
いや、ユリアに。Yuriaに聞きたかったのかも知れない。
「し、幸せに決まってる!私には香織さんや、室井さん、それに賢斗...あッ」
「百合亜は、どちらを取るんだ?」
「.......」
「俺か?賢斗か?」
百合亜は目を見開いて、卓也を見る。
それは絶望と、困惑が混じった瞳だった。
「な、んで?」
「何でって、そうだろう?
白野百合亜にとっては俺でも、菊花ユリアにとっては
城崎賢斗が大切で、心から大事な人だろう?」
「!!!!!!!」