誓~天才演技者達の恋~
卓也はバイクに跨ると、ヘルメットを被る。
ちょうどその時、他社の記者達が通り過ぎた。
「ギリ、セーフね」
「あぁ、良かった。でも何で、何で協力を?」
「私のせいで、Yuriaと卓也くん叩かれてるから」
土居はそう言うと、エンジン全開で細道を抜ける。
巻貝誠司は、土居の暴露によりコメンテーター界から追放。
政治家の娘の奥さんとも離婚した。
「あんたはそれで良かったのか?」
「えぇ、いいのよ。愛人っていう関係も飽き飽きしてたし。」
卓也はクスリと笑うと、高速道路の看板を指差した。
「真紅デパートだ」
「分かった。捕まんない程度に飛ばすからね」
「あぁ、頼んだ。土居ィィィィィィィ!!」
「土居だっての」
土居は高速に乗ると、警察に捕まんない程度に飛ばす。
卓也は時々くる振動に耐えながら、土居の後ろに座る。
「身体、平気?」
「ダメですね。今日、ぽっくり逝くかも知れません」
「...百合亜に会うまでは死なないであげてね」
土居の言葉に卓也はコクリと頷く。
「分かってます。ずっと探してた。白野百合亜を」
「私も。彼女を探してた。新人の時から」
バイクは、普通車やトラックを抜く。
さらに他のバイクも抜かした。
「あと10分ちょい」
「本当だ。真紅デパートが見える」
土居は高速を降りると、少し速度を落としながらも急ぐ。
すると突然バイクを止め、卓也の鼻が、土居の背中に衝突する。
「ちょっ、何、急ブレーキ...」
卓也が文句を言っていると、反対車線に百合亜の姿があった。