誓~天才演技者達の恋~
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百合亜はゆっくりと、卓也を起こさないようにベットから起きる。
そして一糸纏わぬ姿で、シャワーに入った。
「あぁ...ッ!」
何で、こんな罪悪感みたいな感情に包まれるんだろう?
百合亜はそう思いながら、シャワーの冷水を浴びる。
ちゃんと心から好きなのに、何だかイケナイことをしたみたい。
百合亜は大声で泣くが、シャワーの音でかき消される。
「大好き、大好きなダケなのに...」
百合亜は冷水にしばらく当たるが、全然気分が落ち着かない。
初めてのえっちは、幸せに浸れるのかと思っていた百合亜。
だけど、全然違う。
ヤっている間も、悲しくて仕方無かった。
痛さよりも、悲しさが上回ってしまっていた。
「うぅ...辛いよ...」
これだったら、自分は菊花ユリアのままで良かったんじゃないかと思う。
だったら、賢斗や由梨も傷つけなくて済んだかも知れない。
「家族と記憶...好きな人まで失うのね...私は...」
記憶が戻ったら、すべてが幸せに行くかと思っていた。
もちろんそんな考えの時は、賢斗と幸せに..なんて呑気な考えだったが。
でも、彼女は白野百合亜であって、菊花ユリアでもある。
「二人分、罪を重ねちゃったのね...私」
百合亜はシャワーを止めると、着ていた服を着る。
そして何も言わず、その場を去るつもりだった。
「はっ、くっ....」
ベットから息苦しそうな声が聞こえる。
百合亜は急いでベットへ向った。
するとベットの上で、卓也が苦しそうにしている。
「卓也!」
「いッ...く...な...」
「卓也、卓也ッ!!」