誓~天才演技者達の恋~
百合亜は目をまん丸にして、彼女を見た。
自分の名を“ゆりあ”と言った彼女は、もう一度笑う。
「って言っても字は違うんだけど。
櫻庭由里亜
(Sakuraba Yuria)って言うの。」
「櫻庭由里亜さん...運命のようですね」
百合亜は感動しながら、色紙にサクラバユリアさんへと書いた。
由里亜は満足げに色紙を鞄にしまうと、百合亜に負けないくらいの笑顔で
「じゃあね!!ありがとう!!」と空港内に響かせた。
百合亜はもう一人の自分の背中を見る。
百合亜の両親は、口を開けたまんまで百合亜を見る。
「まるで、未来から百合亜が来たみたいだったな」
「えぇー本当」
百合亜は唇を尖らせて、両親を見ると変顔をする。
両親は訳も分からず笑顔になった。
「確かに私にソックリだった。だけど私はもっともっと可愛くなるし美しくなる。
だって、お父さんとお母さんの子供だもん!!」
百合亜はピースのサインをすると、グルグルと回る。
目が回るまでやると、百合亜は止まって記者にピースした。
「...??あれ、記者さんじゃなかったのかな??せっかくピースしたのに」
「百合亜、そろそろ行きましょう。きちんとついてくるのよ?百合亜ちゃんは、神かかった方向オンチなんだから」
百合亜は母親を睨むと、母親と父親の手をとった。
「やっぱり、白野百合亜には興味ないわー。土居ィは何で見て帰るんだろうか」
鎌足はカメラを片手に、百合亜の後姿を見た。
そしてちょうどその時。
卓也がその横を通り過ぎた。
「今の奴...シャッター押しとけば良かったか??なんか大スターの匂いがプンプンしたぞー」
鎌足は、卓也の後姿だけをカメラに映した。
そして撮ったのを確認しながら呟く。
「白野百合亜と同じだな...なんだか目を惹く」