誓~天才演技者達の恋~
由梨は高級車から視線を外すと、百合亜がいる搭乗口に向う。
小六とは思えない美貌を放ち、由梨は歩いていく。
あらゆる歳層の男性が振り返る。
「お前らは、ロリコンか」
嫌味を言い放ち、由梨は高らかに笑った。
そしてその中でも振り向かなかったのは、たった二人。
同い年くらいの男の子。
「...城崎賢斗と柊怜也...
どちらも白野百合亜なわけね」
プロダクションの社長の娘となると、ある程度人気で無くても分かる。
それが今、確実に人気が出始めている奴と親が有名な作曲家となるとなおさらだ。
由梨は悔しそうに、白野百合亜を見つめた。
そして、由梨は百合亜と向き合っている男に目を向けた。
「カッコイイ...
彼も、彼も白野百合亜なの??」
卓也を見つめながら由梨は、百合亜に敵意を。
携帯を取り出すと由梨は、自分の母親に電話をかけた。
「今、白野百合亜が前にいるわ。
それで...ワイドショーに映ってるでしょう?彼。
その彼について調べてくれない??」
携帯を鞄にしまうと、由梨はもう一度卓也を見つめた。
“一目ぼれ”
由梨はただただ卓也を見つめていた。
「欲しいな...彼の心。
白野百合亜のモノが欲しい」
由梨はそう呟くと、搭乗口を後にした。
ちょうどその頃。
卓也と百合亜は熱く抱きしめ合っていた。
「必ず、必ずモノにしてみせる。」
その光景を背に...由梨は爪を噛んだ。