誓~天才演技者達の恋~
桜舞い散る入学式
今年は、季節が可笑しくなったのか..。
桜が可笑しくなったのか、卒業シーズンに桜は満開となり、入学シーズンとなる今は散り始めていた。
卓也は桜の花びらを掴みながら、明華学園の門の前で立ち止まり、上を見上げた。
「百合亜。とりあえず...ここには来れたぞ」
今は星となり、空となった百合亜に言う。
少なからず、百合亜が死んで半年は経っていた。
白野百合亜という一人の天才は、飛行機事故によって命を落とした。
卓也が知ったのは、百合亜が旅立った次の日の朝。
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――ガシャーン
家に響いたガラスが砕ける音。
卓也は妙な響きに目を覚ました。
「母さん?どうしたんだよ」
下に降りていくと、卓也の母親はガラスコップの破片には目もやらず、テレビを見ていた。
卓也は舌打ちを軽くして、破片を片付け始めた。
『今朝、不幸な事故。その情報が入りました』
珍しく日本語が曖昧なニュースキャスター。
卓也は手を止めて、その不幸な事故の情報を聞いた。
『白野百合亜さんが乗っていた飛行機が昨夜墜落し、パイロット、客室乗務員、白野百合亜さん含めた483人
..全員が死亡したという事です』
卓也は何も言えず、ただテレビの前に立って、テレビを思いっきり殴った。
その後はただ無言に、ニュースキャスターの言葉に耳を傾けているだけだった。
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「日比野卓也ッ!!」
由梨は卓也の腕にしがみつくと、ニコリと微笑んだ。
卓也は払うこともせず、ただ無言で由梨を見つめていた。
「良かった。
卓也もここに受かって。
これで有名になったら一緒に仕事できるね」