誓~天才演技者達の恋~
由梨もお辞儀をして、急いで卓也を追う。
「卓也ッ待って!!」
由梨が腕を掴むと、卓也は物凄い勢いで振り払った。
由梨は怯えた目で卓也を見つめる。
「オマエさぁ...なんなワケ?」
「......」
「簡単にあいつの名前
出すんじゃねぇーよ!!!!」
卓也はそう言うと、体育館に向っていった。
由梨は背中をジィーと見ながら、白野百合亜を思い出した。
空港で見ていた光景を思い出す。
由梨はただ、卓也の笑顔を見たいだけなのに...。
「まだ日が浅いだけだよね??」
由梨が独り言を言っていると、賢斗が横を通り過ぎた。
賢斗は何も言わずに通り過ぎていく。
「ねぇ、あんた。なんで卓也を睨んでたわけ?」
「....気が早いと思ってな。
投げやりだとしても、まだオマエに移るのは早い」
「私に対する...嫌味なワケね」
由梨は腕を組みながらそう言うと、賢斗は鼻で笑った。
それが気に食わない由梨は、賢斗を睨むと体育館に入っていった。
「白野百合亜を超えられるのは、アイツだけだろうな」
賢斗が意味深なことを言っていると、後ろからたくさんの生徒が来た。
普通科の生徒だろう。
賢斗はとりあえず芸能人。
早々と体育館に入っていった。
明華の門前に高級リムジンが止まる。
運転手が後部座席を開けると、腰まで伸びたロングを靡かせ彼女は降りた。
「行ってらっしゃいませ、明日香お嬢様」
「えぇ、行ってくるわ。
母様が父のお墓に行くんなら、私の迎え要らないから」
明日香はそういうと、明華の門をくぐった。