誓~天才演技者達の恋~
演戯祭の配役は...。
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「入学したてなのですが、演戯祭に向けて準備しなくてはいけません」
クラスメイトの名前でさえ覚えられていないのに、もう演戯祭への準備が始まろうとしていた。
由梨は担任の話を熱心に聞く中で、隣の席の卓也は空席となっていた。
ハァーとため息をつき、賢斗のほうを見ると、賢斗は読書中。
注意されないのは、トップ生徒の称号があるからだろう。
「脚本をしてくれる方はいますか?」
ここにいるのは演技者を目指す人間ばかり、脚本となると舞台に上がることは出来ない。
由梨は、誰も手を挙げないだろう...と思っていた。
すると、由梨の目の前の席の男が手を挙げた。
黒いフレームの眼鏡。
がり勉!のあだ名がふさわしそうな男だ。
「師道(シドウ)...いいのか?」
「はい」
師道綺羅(キラ)という、見た目と名前が合っていない男は、由梨から言わせれば変わっている男だった。
「あなた、なんで...なんで芸能科になんて入ったの?脚本を進んでやるなんて」
後ろから呟くと、師道は眼鏡を上げながら「挑戦です」と呟いた。
由梨はワケも分からず首を振る。
「父に...挑んでみたい。それだけです」
由梨は“師道綺羅って変”そう心に言った。
そしてその後、気がついた。
「あなた、師羅監督の息子!?!?!?!?」
世界のスピル●ーグに並ぶと言われている日本の監督。
師羅は、映画界やドラマ界を覆す作品ばかりを書いており、白野百合亜を見つけた人間でもある。
「師道綺羅の漢字から取って...師羅なのね。なんだか納得だわ」
「息子からすれば、いい迷惑だけどな。」