誓~天才演技者達の恋~
由梨は呟くと、卓也を探しに向った。
校舎の外まで来た由梨は足を止める...。
「城崎賢斗....卓也...」
空気感に負けた由梨は来た道を戻り、教室に戻っていった。
明日香は影からそれを見ると、二人を見るのに眼鏡をかける。
「さて、どんな話が聞けるのかしら?」
明日香の期待通りに話を始めた二人。
明日香は木の陰に腰を落とした。
「白野百合亜を超える天才に会ったんだ...」
「....」
「俺はそいつと偽りの愛をしろと命令されてな...あいつの知らない過去を言って、メンドクサイことはやめようと思っていたんだ」
明日香は意味が分からず、口を開けたまんま。
どうやら明日香は、話の途中から聞いているらしい。
「でもさ。あいつ...スゲーんだ。演技が...。あぁーもう偽りでもいいって思ったんだ。
たとえあっちが“思い出しても”俺はあいつ一筋で生きていく
それくらい真剣に、愛し始めたんだ。
言っとくけど、お前...会ったら一瞬で落ちるぞ」
「俺には...」
明日香は話が途中だったにも関わらず、そこから去ろうとしていた。
立ち上がった瞬間に携帯が鳴る。
「何...?」
明日香はゆっくりと携帯を開けた。
メールを見ると、遠い親戚で仲の良い、鎌足の子供...康幸(ヤスユキ)からのメールだった。
《父さんが、喜んでる。
何でも菊花プロダクションの社長が、自分のことを明かしたらしい。
菊花香織は本名で、明華の芸能科の第一トップ生徒って事と...
白野百合亜にチョイ似の、一人娘がいるんだって!!》
明日香は携帯を地面に落とし、賢斗を見つめた。
「まさか、まさか....。
百合亜が生きてるんじゃないでしょうね...??」