誓~天才演技者達の恋~
黒いバンと、後部座席を覗いている和人の写真。
それが朱美が一生懸命に撮った写真だった。
「この中身さえ知れば、菊花香織が正体を今明かした理由が分かる」
朱美と鎌足は、菊花香織が突然正体を明かしたことに驚いた。
そして不思議に思ったのだ。
どうして今なのだろうかと...。
明かした秘密の中には、白野百合亜に似ている子が一人いることも書かれていた。
鎌足はニオイがするとブツブツ言う日々が続き、ついに口を開いた。
『土居ィィィィィィィ!勢力MAXで菊花ムスメについて調べろォォォォォォォォォ!!』
鎌足の命令で本日行なわれる演戯祭にいるわけだが、さっそく収集はあったようだ。
カメラと一緒にビデオをまわしていた朱美は、さっそくチャックする。
黒いバンから出てきたのは、さっきも言ったように室井和人。
調べるとどうやら、菊花香織の遠い親戚らしい。
勢い良く出てきた和人は、後部座席を開けると何やら叫んでいた。
風などの雑音が入り良く聞えないが、出来るだけそれらしい音に耳を傾ける。
『ユ...アさん!!大丈夫ですか!?ユリ...アさん!!』
朱美は危うくカメラを落とすところだった。
このカメラの中の室井和人は間違いなく、車の中に乗っている人間を...“ゆりあ”と呼んでいた。
――ドンッ
朱美の背中に衝撃が走る。
両手から滑り落ちたカメラ...その破片が散らばる。
「データーが!!」
朱美は文句を言ってやろうと振り返ると、朱美が良く知っている人物だった。
彼女は目をまん丸にしてカメラの破片を集める。
「ゴメンナサイッ!!全然気がつかなかったわッ!!ごめなさい。土居朱美さん」
「あなた.....」
「高速道路に入る前にお会いしたわね。霧島明日香よ。以後よろしく」
明日香からすれば、きちんと自己紹介をしたのは初だった。
明日香はカメラの破片を睨むように見ると、すぐさま視線を戻す。
「何か大事な写真でも、入ってましたか??」