誓~天才演技者達の恋~
スクープは命取り?
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演戯祭が終了した。
賞を受賞したのは、日比野卓也。
由梨はそれなら満足と言った表情で、卓也の傍を歩いていた。
「卓也おめでとう」
卓也は相変わらずの無表情だ。
由梨は心の中で舌打ちをすると、卓也に抱きついた。
驚いた様子で由梨を見る卓也。
「私の気持ち知ってるくせに...そんなセコイ演技するのね」
「....離せよ」
「いや...こうでもしなきゃ、あなたは私を...歌原由梨を見ないでしょう?」
由梨は数センチ高い卓也を見る。
卓也は由梨のほうを見ようともせず、遠くを見つめていた。
「どうして...どうして白野百合亜なのよ...」
「...........」
「私にはあるよ?彼女を超える自信...」
卓也が視線を由梨に合わせた瞬間、由梨は卓也の唇と自分の唇を重ねた。
――カシャというカメラの音は、卓也にも由梨にも聞えていた。
でも由梨はキスを止めず、卓也は引き離さなかった。
「ンッ...」
由梨の唇が卓也の唇から離れようとしていた。
卓也は無表情のまま、由梨の頭をもち、自分の唇と重ね合わせ続ける。
「....!!!!?」
由梨は不思議に思いながらも、目を閉じ幸せを味わっていた。
卓也は気の影に隠れる朱美を見つめる。
朱美は手を休めると、二人のキスを見ていた。
「日比野君...あなたはそれでいいの?」
朱美はそう小さく呟いた。
卓也は遠くを見ながらも、由梨と唇を重ねていた。