誓~天才演技者達の恋~


賢斗は「えっ!?」と声を出した。

そのリアクションに明日香は妖しく笑う。


「言ったはずよ...宣戦布告だって」


賢斗は気まずそうに下を向いていた。

明日香は破いてしまった雑誌を拾いながら言う。


「私にとって白野百合亜は、芸能人であり心友だった。なのに彼女は父と同じ飛行機に乗り死んだ...。

でもあなたは、白野百合亜にそっくりな子...菊花ユリアを知っている。
ねぇ、どうして同じ名なの?ドコがドウそっくりなの?

教えて...私にダケでもいいから教えてよ...」


明日香は床に座り込み、涙を流していた。

賢斗は何も言えず、明日香を見つめる。

その言いようも無い空気に、興味を示し近づいてくる人など誰もいなかった。


「俺からはまだ言えない...でものちに分かる時が来ると思う。」

「ふざけないでッ!!私がどんな想いで卓也を手放したと...ハッ!!」

「....白野百合亜には勝てない。歌原由梨を見ていてもそう思う。誰もあいつには勝てない」


賢斗は明日香を立たせると、ハンカチを明日香に渡した。

遠慮していた明日香も渋々借りる。


「天才という称号は、そいつが死なない限り、誰かが歴史を変えない限り...一生“天才”の称号は変わらない。

でも死んでも無く、誰も歴史を変えられない場合...

天才を超えられるのは、その称号を貰った天才自身だ。」

「!!!!!!!」


「天才は、自分を超えられる。
高い頂を越えられるのは、その頂を作った本人だけだ」


明日香は目を見開いて、賢斗を見つめる。

賢斗は鼻で笑うと、明日香の横を通り過ぎて行った。


「俺が言えるのは、ここまでだ」


明日香はもう一度床に座り込むと、賢斗からのハンカチを握り締めた。

涙を流し、芸能科の生徒を見る。


「ゆりあ...!!」


明日香はポケットからネックレスを出して、身に着けた。

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