誓~天才演技者達の恋~

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__季節は過ぎ2月


cmの撮影が終わった卓也は、楽屋で仮眠中。

卓也のマネージャー灰田(ハイダ)は、卓也に毛布をかけると楽屋から出て行った。


「スクープは芸能人にとって命取り...本当かねぇ...逆に仕事が増えてる気がするんだけど」


卓也は最近仕事の量が倍増。

演戯祭のおかげとも言えるが、一番は歌原由梨とのスクープ写真からだった。

『everydayフラッシュ』に出されたスクープ写真から、人気急増となり“カッコイイ”だのと噂になって今に至る。


「しんどいなぁ...百合亜はこれをこなしていたんだ」


卓也はソファーから起き上がり、楽屋を見渡した。

日に日に大きくなっていく楽屋。

そして必ず由梨と隣同士だった。


「気遣いなんていらねぇーよ。第一好きじゃねぇーし」


しかしあのキスまで撮られていて“付き合っていません”なんて通用しない。

それに由梨が記者達の前で『結婚までいけたら...なーんて』とまで言っていた。

最初は百合亜から移って由梨に!なんて騒がれていたが、時間が経つと百合亜の存在は忘れられていた。


「偽り愛ねぇ...この台本と一緒か」


机の上に積み上げられた数多くの台本。

恋愛もので由梨と共演は無かったが、ちょくちょくゲスト出演という形で出ていた。

明華の後期演戯祭も忙しすぎて、卓也も由梨も賢斗もパスしていた。

それぞれが有名になっている。

それは毎日テレビでCMやドラマ、宣伝などでのバライティーという形で、世間に顔を出し、街の調査でも知名度100%になっていた。


「なんだこれ...新人女優との共演...師羅!?」


それは師羅監督直々な手紙と共に、台本が置かれていた。

卓也は急いで封を開ける。

それは一年以上後となる約束。


《日比野くん。
俺は歌原由梨が天才だとは思っていない。
彼女は努力家それだけだ。

俺は探したい。見つけたい。
白野百合亜のような天才を...!!

君は知っているだろう?彼女の天才ぶりを....。》


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