誓~天才演技者達の恋~
後期の演戯祭に。
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三人は困り果てた様子で、芸能科の職員達の土下座を見ていた。
三人とはもちろん、卓也・賢斗・由梨であるのだが...。
「でも、前期の演戯祭の練習期間中や発表の時などには、映画撮影のスケジュールが入ってて....ねぇ、卓也」
卓也は由梨の言葉に頷くと、賢斗もそれに便乗した。
ライバル会社でもあり、ライバル同士でもある三人。
って言っても卓也・由梨VS賢斗なのだが、三人の仕事量は日に日に多くなり、睡眠もロクに取れていなかった。
学校に来たのも半年以上と言ってもいいほど。
久々に制服を着た三人は、着心地が悪いのか服のあらゆるところを弄りながら、話を聞いていた。
「去年の後期もキミら3人は棄権。それは仕事が一気に入って大変だろうとの考慮だったんだ。
でも前期まで棄権されては、芸能科の信用がた落ちになってしまう。
キミ達を見たくて足を運ぶ人間もたくさんいるんだ...。頼むよ!!」
三人はライバルというのを忘れて、顔を見合わせる。
卓也は相変わらずの無表情で、職員を見ていた。
「日比野。見下ろすな。見てて痛い。」
「もともとこういう瞳でな」
「あぁー気持ちワリィ」
由梨は二人の会話に舌打ちをすると、ソファーに腰を降ろした。
そのまま寝ようとする由梨を、賢斗は叩く。
目をパッチリと開いた由梨は、賢斗の足をヒールで踏み、卓也の傍に戻った。
「ってーめー」
「今は、そんなことで揉めている場合じゃないわッ」
「オマエが踏んだんだろうがッ!!」
職員も困り果てた様子で、二年になってもトップ生徒の卓也を見た。
卓也はその視線を感じると、職員と見詰め合う。
「何で、卓也ッ...ハゲタと見つめ合ってるの!?」
「そっち系なんじゃん。っーか。羽毛田(ハケタ)だから。このハゲタおっさんの苗字は」
賢斗と由梨は小声で話をする。
それでも相変わらず、羽毛田と卓也は見つめあいをしていた。