誓~天才演技者達の恋~


由梨と賢斗は首を傾げながら、職員室を出た。

卓也も後ろからついて来るように出る。


「卓也、このあとデートとかどう?」

「仕事」

「じゃあ、明日」

「仕事」

「あさって」

「仕事」

「明々後日」

「仕事」

「明日香!!」

「入院中.....」


卓也は由梨を見る。

由梨は勝ち誇ったように笑った。

賢斗は霧島明日香が事故に遭ったというニュースを知っていたため、ピンッときた。

しかし意味が分からず、賢斗は由梨を止めに入るが、払われる。


「どうして、私とのデートはしてくれないのに...霧島明日香のところには行くのよッ!
二時間も...霧島明日香といたんでしょう?」

「....そうだよ」

「コンノッ浮気男!!別れてやるッ!!」

「別れれば?」


由梨はその言葉に何も言えなくなり、涙を流す。

賢斗はスッとハンカチを出した。

卓也は何も言わずに歩いていくと、一度振り返って賢斗を睨んだ。


「はぁ....?」

「由梨を頼んだ」


そう言うと、卓也はマネージャーを呼んでいたのか、車に乗り込んで行ってしまった。

由梨は相変わらず泣いていて、賢斗は胸を貸すが、周りに記者がいないことを祈っていた。


「芸能科だし...記者はいないよな...?」

「いたとしても....ヒクッ、セリフ合わせですって...いうものッ。
私には、卓也なの。卓也しかいないの...。

あなただって、大切な人いるんでしょう?
だから、去年の演戯祭の前...『日比野を絶対手放すな。』なんて言ったんでしょう?

あなたの彼女...卓也のファンなの?
一般人でしょう....??」


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